フォアグラ産地は世界的に広がりつつある。フォアグラ生産大国のフランスでさえ、日本で消費される15倍以上の量を海外から輸入。
ちなみに日本最大の輸入相手はハンガリー、続いて多いのはイスラエル産で、本家フランス産は全体の1割強にすぎない。
ガチョウのフォアグラに関して、その最大の輸出国はハンガリー。日本にくるガチョウのフォアグラの6割もまたハンガリー産であり、その優秀さはフランス本国でも認められている。
ハンガリーで伝統的にフォアグラ作りに携わってきたのは、ユダヤ系の農民達である。
彼らは旧約聖書に記された食事に関するタブーを厳格に守っている。
(たとえば馬や豚、野ウサギ、ウロコのない魚、動物の血は不浄なので食してはならないなど。)
こうした制限の下でも食べられるフォアグラは、ユダヤ教徒にとって重用な脂肪源であった。
また血を不浄とする観念が、フォアグラの内部に血を残さずに取り出す技術を育てた。
日本に入ってくるガチョウのフォアグラの3割はイスラエル産である。
そのフォアグラの優秀さは、ハンガリーから移り住んだユダヤ人の手によって作られているという理由だけでなく、フォアグラを重要な輸出品として位置づけ、国による徹底的な品質維持体制を整えている点にある。
一方、鴨のフォアグラに関しては、日本で消費される大多数をフランスが供給する。
歴史のある生産地としては、フランス南西部、ランド県やジェール県といったガスコーニュ地方
また、トリュフの名産地でもあるペリゴール地方。
近年、フランスでは鴨のフォアグラの消費量がうなぎ上がりで、ガチョウを圧倒している。
「ガチョウよりも風味が軽い」「口溶けがよい」といった味わいが、レストランのシェフの間で鴨のフォアグラ使用を推進させた一要因ではあるが、鴨のほうが育てやすい、また鴨のフォアグラを取った後の胸肉、マグレ ド カナールが広まった事などの生産者サイドの事情も大きく働いている。
フランスに続く輸入元は、ハンガリー、中国であるが、近年ではハンガリー産 鴨フォアグラの優秀さが見直されており、その輸入量は毎年増加傾向にある。 |