カービング方法~ハモン編~
・生ハムを最もおいしく召し上がれる室温は約21℃位。この温度が一番自然に脂部分が輝きます。あまり冷やし過ぎてしまうと不透明なくすんだ脂になってしまいます。
デリカテッセンなどでは、ボンレスタイプの生ハムをスライサーでスライスして販売していますが、ナイフでカットする方法が最も生ハムを美味しく召し上がるのに適しているされています。手作業での伝統的なカッティングのプレゼンテーションとは違い、スライサーでは生ハムの表面とスライサーの摩擦によって熱が生じ、脂の旨みや特性、香りを損ってしまう可能性があるからです。
正しい知識さえあれば、カッティングはとても簡単な作業です。以下の注意点に沿って安全に行ってください。
■特に重要な4つのポイント
1.適切なハモンホルダー(Jamonero)を使い、生ハムを固定する。
2.カッティング中はナイフを持っていない手を必ずナイフを持っている手より上の位置におく。
3.身体をカッティング部分から安全な距離に保つ。
4.力を入れすぎず、ゆっくりカットする。
■道具
生ハムを適切にカットする為には以下の道具が必要です。
A.シャープナー(Chaira):ナイフを手早く・簡単に・安全に砥ぐことが出来ます。
B.ナイフ(Cuchillo jamonero):ハムカッティング用特別ナイフ。鋭く、刃身が長く、細身でしなやかなので、カットする部分の形に沿って薄く正確にスライスできます。
C.ハモンホルダー(Jamonero):足や肩部分の肉を、カットに適切な位置にしっかりと支えるホルダーです。
a.布巾:切り終わった後にハムを覆います。
b.小さいナイフ類:小さく鋭い刃は、角度のある部分でも正確にカットすることが出来ます。
■生ハム各部位の名前とセッティング
a.Maza
b.Contramaza
c.Punta
d.Codillo
ホルダーは負担のない楽な姿勢で切れる位置に置きます。
1~2日の短期間で生ハムを使い切る場合は、「maza」と呼ばれる部分からカットすることをお薦めします。写真のように、蹄部分を上に向けてセットします。
2日以上かけて使い切る場合は、「contramaza」の部分からカットした方がいいでしょう。この場合、蹄部分が下になるようにハムをセットします。
■生ハムの剥き方
生ハムをカットするには、切る部分に被っている皮を剥き、肉の部分が見えるまで余分な脂肪部分と共に取り除くことが必要です。
生ハムの外側には、乾燥・熟成期間に自然発生した滲出液とカビを多く含んでいます。カットする部分からそれらを取り除くことで、嫌な匂いを防ぐ事が出来ます。
1日で使い切る場合は皮を全て剥いてしまって構いません。そうでない場合は、使用する部分のみ剥いて下さい。
■スライス方法
生ハムはほとんど透ける位に薄くスライスします。
長さは6~7cm位までがいいでしょう。
皮と外側の脂部分を取り除きながら、切り進んで下さい。
カットは常に蹄とは逆方向に水平にし、でこぼこのない平らな表面にしておきます。
ジューシーな「maza」部分をカットする際は、「punta」部分と、「codillo」部分のスライスを混ぜてご提供することをお薦めします。
骨、または 「punta」部分に達した時には、後でカットしやすいように、先に骨の周りをカットしておきます。
主要部分に肉がなくなったら、蹄部分が下を向くように生ハムをひっくり返します。
横を削ぐ場合は、小さなナイフをうまく使ってカットして下さい。小片にカットし
、スープやシチューの具材としてご使用下さい。
■生ハムの保存方法
ハモンやパレタは特別な保存条件はありませんが、涼しく乾燥した場所(10~15℃程度)に置く必要があります。吊り下げておくか、ホルダーに乗せておくと良いでしょう。
一度カットしたらすぐに消費するか、油紙かラップで巻いて空気との接触を防ぐ必要があります。
カッティングを終えた時は、取り除いた脂や皮の大きい部分で断面を保護しましょう。そうする事で、断面を新鮮に保つことができます。
その上に清潔な布巾を被せておく事をお勧めします。より良い状態で保存出来ます。
■追記事項
生ハムの骨は味わい深いシチューやスープの最高の具材としてお使い下さい。この場合、骨を握りこぶし程度の適度なサイズに(のこぎり等で)カットしておきます。後で使用する為に冷凍しても良いでしょう。
また、生ハムのナイフに最もよく使用されるのはステンレスです。柔軟性があり、耐久性が良いからです。
しかし、すぐに切れ味が鈍ってしまいます。毎回ハムを切る前にはナイフを研ぐことをお勧めします。
ナイフを研ぐ事で、怪我も未然に防げます。
資料提供:アサヒグラント株式会社 様