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豆知識-食肉加工品-

    イタリアのサルーミ

    【イタリアのサルーミ①】
    ・イタリアでサルーミ(salumi)とは一般的に保存用に加工した肉類を意味します。大別して、プロシュットクルードやクラテッロ、サラーメに代表される肉を成形して調味、塩漬けや腸詰にして熟成させた非加熱タイプと、モルタデッラやプロシュットコットにように調味後加熱して作る加熱タイプの2種類があります。2018年現在、イタリアにはEUの認定を受けたDOP(保護原産地呼称)、IGP(保護地理表示)のサルーミは、イタリア全20州の内13州で作られ、その数は41種類になります。

    Prosciutto Crudo(プロシュット クルード)
    ・プロシュットとは、豚のモモ肉を塩蔵、熟成させて作る生ハムでイタリアを代表する食材のひとつです。主に北中部イタリアで作られており、DOP、IGP合計11の産地があります。とくに有名なのはパルマとサンダニエレ。 [パルマ産プロシュット] ・丸みのある形状と美しいバラ色が特徴。「甘口」と称される滑らかな舌触りと芳香は、夏の蒸し暑く、冬は霧に覆われて寒さが厳しいエミリア地方の風土が生み出すと言われます。原料は豚のモモ肉と塩のみで、「マエストロ・サラトーレ」と呼ばれる熟練の職人が塩を施した後、切断面が乾燥しすぎないように豚の脂と塩などを配合した「スーニャ」を塗り、約400日間熟成されます。その時点で馬の骨を使った独特の検査「スピッラトゥーラ」が行われ、主に血の臭いがないかどうか、熟成が適切かどうかを香りで判断します。合格するとパルマ公国時代の王冠を模した冠マークの焼き印が押され「プロシュット・ディ・パルマDOP」として出荷されます。 [サン・ダニエレ産プロシュット] ・フリウリ地方ウディネ周辺で生産されるのが「プロシュット・ディ・サン・ダニエレ」。その起源はパルマよりさらに古く紀元前8世紀から11世紀の間には生産が始まっていたとされます。製法はパルマとほぼ同じですが大きく異なる点はサンダニエレのシンボルともなっている、豚のひづめ部分を残したまま熟成させる方法です。これがサンダニエレの伝統的な方法で、吊るして熟成させる間、ひづめの部分からの水分蒸発を促す目的があり、品質保証の焼き印にも豚の蹄が描かれます。サンダニエレは、パルマ産に比べるとより味も香りも強いと言われます。

    Culatello(クラテッロ)
    ・クラテッロは「生ハムの王様」と称されることがありますが、正確に言うと「サルーミの王様」。バッサ パルメンセと呼ばれるポー川西岸平野部にあるズィベッロ周辺の8つの村で、生産者組合に加盟している22社のみが生産しています。
    他のエミリア地方のサルーミ同様、この地方が冷たく重い霧に包まれる冬期のみに生産。使用する原料は豚の尻に近い部分のモモ肉で、皮・脂・骨を外し、クラテッロ独特の洋梨型に成型、10日程塩蔵した後に豚の膀胱に詰め、ひもでしばった後吊るして熟成させます。熟成は、アンモニア臭が漂う湿った洞窟内で最低10ヵ月間行われ、ここで行われる発酵のメカニズムにより極上の香りを秘めたサルーミの王様に昇華していきます。サルーミは製法により「ペッツォ・インテーロ(一体型)」と「インサッカーティー(詰め物型)」に大別されますが、クラテッロは後者に分類される生ハムとなります。


    イタリアのサルーミ

    【イタリアのサルーミ②】
    ・イタリアでサルーミ(salumi)とは一般的に保存用に加工した肉類を意味します。大別して、プロシュットクルードやクラテッロ、サラーメに代表される肉を成形して調味、塩漬けや腸詰にして熟成させた非加熱タイプと、モルタデッラやプロシュットコットにように調味後加熱して作る加熱タイプの2種類があります。2018年現在、イタリアにはEUの認定を受けたDOP(保護原産地呼称)、IGP(保護地理表示)のサルーミは、イタリア全20州の内13州で作られ、その数は41種類になります。

    Coppa(コッパ)
    ・豚の肩肉を使ったインサッカーティー(詰め物型)で、一般的に甘口で芳ばしいコッパと、力強く刺激的なカポコッロと表現されます。コッパは、その豊かな風味が最大の魅力で、よく締まったドライな食感はパンやグリッシーニに良く合います。
    ヨーロッパの品質認証を受けたものとして、エミリア・ロマーニャ州のパルマ、ピアチェンツァで作られる「コッパ・ディ・パルマIGP」、「コッパ・ピアチェンティーナDOP」が有名で、素材の風味を活かした最小限の熟成と塩、スパイスが特徴。カラブリア州で作られる「カポコッロ・ディ・カラブリアDOP」は唐辛子を加え、100日以上熟成されます。サラセン人によって南米原産の唐辛子がカラブリアに持ち込まれ、17世紀には唐辛子の産地として有名となり、現在でもイタリア国内で唐辛子の消費量は最も多い州となっております。

    Pancetta(パンチェッタ)
    ・パンチェッタとは本来豚のバラ肉を意味しますが、バラ肉を使ったサルーミもパンチェッタと呼ばれます。皮の有無、燻製の有無、筒状、板状、棒で固定するなど地方ごとにそのバリエーションも豊か。一般的なパンチェッタは加熱して料理に用いることが多いです。カルボナーラやアマトリチャーナにはパンチェッタ、あるいわ豚のホホ肉を使ったグアンチャーレが旨みを加えるために使われます。パンチェッタは非加熱の為、素材本来の風味から生まれた独特の熟成香が最大の持ち味です。パンチェッタの中でも特に特色が濃いものに「パンチェッタ・ディ・カラブリアDOP」、「パンチェッタ・ピアチェンティーナDOP」があり、その特徴はコッパに準じますが、ともにそのまま薄切りにして食べるタイプ。

    Speck(スペック)
    ・北イタリアで作られる燻製された生ハムです。スペックとはドイツ語で「豚の脂」の意味。スペックが古くから作られる南チロルのアルト・アディジェ地方はもともとドイツ語圏で、第一次世界大戦後にイタリアに帰属しました。この為、イタリアで作られる製品にもかかわらずドイツ語の呼び名が残っています。豚のモモ肉の骨を外して成形し、塩、コショウ、ローズマリー、ネズの実、ローリエなどで調味し、軽く燻製してから熟成して作られます。軽い薫香とハーブ、そして豚の熟成香が織りなす独特の芳香はイタリアを代表する香り高いサルーミです。

    Salame(サラーメ)
    ・サラーメ(salamiの複数形)とは、いわゆるサラミ類の総称。発酵させたインサッカーティーで、加熱処理したモルタデッラやコテキーノ、一体型のラルドやパンチェッタはサラーメには分類されません。
    サラーメの原料となるのは豚をはじめ牛、ヤギ、羊、馬、ロバ、ガチョウ、猪などの肉、及び内臓、また地域ごとに熟成方法やスパイス、ハーブの使用方法で多くのバリエーションがあります。日本と同じく南北に長いイタリア半島は、北はスイスやオーストリアと国境を接し、南では海を挟んだ対岸がアフリカ。そうした多種多様な気候とミクロクリマ(局所気候)がイタリアの各地域を代表するサラーメを生み出します。
    これらを代表するものとして、サルーミ王国のエミリア地方で数多く作られます。まずはパルマ近郊で作られる「サラーメ・フェリーノIGP」で、豚肉に塩、コショウ、少量のニンニクを加え10日ほど熟成させた小型で半生タイプの香り高いサラーメ。バイオリンで有名なクレモナで作られる「サラーメ・クレモナIPG」はニンニクが強く、5週間以上熟成して作られます。よく締まった肉質でと良い香りと味わいが持ち味。コッパで有名なピアチェンツァでは「サラーメ・ピアチェンティーノDOP」が作られます。これは大きめの脂と加えられるワインが特徴で力強い男性的なサラーメです。南イタリアの山岳部を持つカラブリアでは「ソプレッサータ・カラブリアDOP」があります。これは通常の原料にフェンネルシードと唐辛子が加わり熟成され香り高く仕上がっています。

    ■Bresaola(ブレザオラ)
    ・ブレザオラとは、ビーフを原料に作られる生ハム。(hamは元々豚肉を意味する英語ですので、加工品であるハムは豚肉を原料するものという定義があります。その為この生ハムとは正確な表現ではありませんが、分かりやすい表現としてこの言葉を使用しておりますおります。)
    北イタリアのヴァルテッリーナを起源とし、15世紀頃から作られるようになりました。牛のもも肉を使用し、脂肪や筋などをきれいに取り除きます。塩やコショウなどの香辛料で調味し、約10から20日間程寝かせて味を落ち着かせます。この間にも、数度に渡り塩を揉み込むマッサージを繰り返し、味のバランスを整えます。塩漬け後の一度、塩を洗い流してから腸詰めをして、約2から4ヵ月ほどかけて熟成して仕上げます。
    IGPにも認定されるブレザオラですが、BSE発生以降イタリアからビーフの輸入が再開されたのが2016年であり、その非加熱の加工品に関してはクリアしなければいけない課題も多く、日本へはまだ輸入されていません。


    イタリアのサルーミ

    【イタリアのサルーミ③】
    ・イタリアでサルーミ(salumi)とは一般的に保存用に加工した肉類を意味します。大別して、プロシュットクルードやクラテッロ、サラーメに代表される肉を成形して調味、塩漬けや腸詰にして熟成させた非加熱タイプと、モルタデッラやプロシュットコットにように調味後加熱して作る加熱タイプの2種類があります。2018年現在、イタリアにはEUの認定を受けたDOP(保護原産地呼称)、IGP(保護地理表示)のサルーミは、イタリア全20州の内13州で作られ、その数は41種類になります。

    Mortadella(モルタデッラ)
    ・モルタデッラは、非加熱系サルーミのプロシュットやサラーメと並び、世界で最も有名なイタリアを代表する加熱系サルーミです。その産地の名をとり「ボローニャ・ソーセージ」と呼ばれることもあり、世界中で作られるソーセージの基準ともなっております。語源はラテン語で「ミルトを使って香りを付けした詰め物」。
    さまざまな部位の豚肉、豚の喉の部分の脂肪を立方体に切り出したラルデッリを塩、黒コショウ、ピスタチオ、砂糖、各種スパイスなどで調味し、独特の釜で加熱して作られます。
    モルタデッラの歴史上最古のレシピは1644年ヴェンチェンツォ タナラが書いた経済論文内で、上記調味料の他にシナモン、ナツメグ、クローブ、マルヴァジーア種のワインなど、その分量まで正確に記されています。1661年にはジロラモ ファルネーゼ枢機卿が豚肉以外の肉を使ってモルタデッラを作ることを禁止しており、これはDOPやIGPに至る歴史上初めての食品の生産規定を定めた法令とされています。
    滑らかで舌触りがよく、溶けるような食感がマイルドな味付けは多くの人に好まれ、そのまま食べるだけでなく多くの伝統料理に食材として使用されます。トルテッリーニなどの詰め物パスタの具として欠かせないだけでなく、エミリア・ロマーナ州では永世定番のパニーニの具となります。

    Prosciutto Cotto(プロシュート コット)
    ・Cotto(コット)とは、イタリア語の「(加熱して)料理する」という意味の動詞であるcuocereの過去分詞形。つまり、プロシュートコットは加熱系のボンレスハム。豚のモモ肉から骨を外して成形し、「スタンポ」と呼ばれる専用の容器に入れて加熱することで作られます。マイルドな味わいが魅力で、脂が少なく、断面は美しいピンク色、熟成香ではなく加熱による食欲を誘う芳香が最大の特徴です。原料となる豚肉に、塩やハーブなどで調味されますが、プロシュットクルードのように時間をかけて塩蔵するのではなく、注射器状の器具で直接塩水を注入して調味されます。その後、肉全体に塩が行き渡るよう「ザンゴトゥーラ」と呼ばれるマッサージを行い、スタンポに入れて75度で約10時間加熱処理が行われます。
    その品質により3つのカテゴリーに分類され、プロシュットコットと呼ばれるものは、豚のモモ肉を使用して水分量81%以下と規定されています。「セレクトされた」という意味の「プロシュット・コット・シェルト」は豚モモの主要な筋肉4種類のうち、最低でも3種を使用して水分量78.5%以下に仕上げたもの。そして「高品質」な「プロシュット・アルタ・クアリア」は同様に最低3種の筋肉を使用し、水分量75.5%以下にしたもの。このように、一般的には水分量が少ないほど豚モモ肉が多く使用されているために高品質と判断されます。これら以外にも、北部イタリアでも特にオーストリアやスロヴェニアと国境を接する地域では、ゲルマン中心の中央ヨーロッパの影響を強く受けており、ハーブ類を多く使用した「プロシュット・コット・アッレルベ」や、ローストして仕上げた「プロシュット・アッロスト」など多彩な加熱系プロシュットが多くみられます。

    ■Zampone(ザンポーネ)とCotechino(コテキーノ)
    ・ザンポーネとコテキーノは、豚の脂や腱、足、皮など一般的には価値が低い正肉以外の部分を、コテキーノは腸詰、ザンポーネでは豚足に詰め、塩、コショウ、ワイン、ハーブやスパイスなどで調味し作られます。いずれも生で食べるタイプや加熱料理されたものがありますが、脂が多く濃厚な食材なので、いかに軽く料理するかは料理人の腕前によるところが大きいと言えます。
    現在のエミリア ロマーニャ州、当時はローマ教皇領だったこの地域は、列強フランスとヴェネツィアによる権力争いの狭間にあり、教皇領からの外国勢力の排除を目的としてユリウス2世がミランドラ(モデナ県の町)を包囲した際、その住民が略奪を恐れそべての豚を屠ってサルーミとし、わずかに残った部位もかき集めて豚足に詰めたのがその誕生。モデナを中心に、北イタリアでは大晦日から正月にかけてコテキーノ、またはザンポーネをレンズ豆と食べる習慣があります。ザンポーネとコテキーノには縁起的な意味合いはないのですが、レンズ豆をお金に見立てたユダヤ教の風習に由来する縁起担ぎです。


    白豚の生ハムの豆知識

    【白豚から作られるハモンの分類】
    ・スペインで作られる生ハムは前足を原料に使ったPaleta(パレタ)と、後ろ足を使ったJamon(ハモン)に大きく分類されます。更に、イベリコ豚と呼ばれる特別な豚から作られるJamone Iberico(ハモンイベリコ)、そしてその他白豚から作られるJamone blanco(ハモン ブランコ)に分けることができます。イベリコ豚は蹄が黒く、その他の白豚は一般的に蹄が白いことにより外見で判断が可能ですが、稀に白豚にも蹄が黒いものがあるため、外見だけでは一概に判断できないことがあるので注意が必要です。
    生ハムになる豚の品種には、Pietrain(ピエトレン)・Landrace(ランドレース)・Large White(ラージホワイト)・Duroc(デュロック)などがありますが、基本的には交配されているものが主です。特にデュロック種は大きな体躯と適度な脂肪交雑があるため評価が高い傾向があり、その掛け合わせでで作られるハモンには商品名にデュロックが付与される場合が多いです。
    白豚で作られる生ハムのすべてがJamon Serrano(ハモンセラーノ)ではありません。ハモンセラーノの呼称はその伝統や品質を保護するため、EU内に設置される機関によりETG(Especialidad Tradicional Garantizada)で決められた基準を順守した商品のみに与えられます。ETGはDOPやIGP等とは異なり、製品の原産地呼称を守る目的ではなく、製品の伝統的な原料や加工方法を守る目的を有しています。

    Jamon Serrano(ハモンセラーノ)
    ・様々な詳細に渡る基準がありますが、ハモンセラーノは最低7ヵ月以上の熟成をした白豚の生ハムです。この基準に満たな白豚の生ハムはJamon Curado(ハモンクラード)となります。ただし、スペインには大小さまざまな生ハムメーカーがあり、各社それぞれに独自の理念やこだわりにより生ハムが製造されるため、統一の基準から外れたものが一概に品質が劣るということではなく、法律によりJamon Curado(ハモンクラード)でも12か月以上の熟成が行われ極めて高い品質を誇る商品があるだけでなく、Jamon Matanza(ハモン マタンサ)の様に独自のカテゴリーを設けるメーカーもあります。

    ETGの基準による熟成期間ごとのカテゴライズ。

    種類 Bodega o Cava Reserva o Anejo Gran Reserva
    Jamones 9ヵ月以上 12ヵ月以上 15ヵ月以上
    Paletas 5ヵ月以上 7ヵ月以上 9ヵ月以上

    【原産地呼称を認められるハモンセラーノ】
    ・ハモンセラーノには、上記の分類に加えてDOP(Denominaciones de Origen Protegidas)やIGP(las Indicaciones Geograficas Protegidas)の認証により原産地呼称を認められる特別なものがあります。

    DOP ハモン テルエル(Teruel)
    ・スペイン北西部 アラゴン州南部の村テルエルは暑さは穏やかで、冬は氷点下まで冷え込む厳しい寒さ。これら厳しい環境は生ハムの生産に最適で、スペイン国内最初のDO認定を受けています。原料となる豚はすべてテルエル内で生まれ、飼育されたもののみを使用。デュロックが50%以上の交雑種が原料で、最低15か月の熟成が必要です。

    IGP ハモン トレベレス(Trevelez)
    ・シェラネヴァダ山脈ムラセン山中腹の高度1200m以上という高地にある村トレベレスで作られる伝統的な生ハム。機械化されていない伝統的で自然な熟成庫内で14ヵ月異常熟成されます。保存料としての硝酸は使用せず、塩分の使用も抑えているため、できあがりの製品は塩味がマイルドでジューシーであるという特徴を有します。

    ■IGP ハモン セロン(Seron)
    ・現時点で情報なし。


    イベリコ豚の生ハムの豆知識

    【イベリコ豚から作られる生ハムの分類】
    ・スペインで作られる生ハムは前足のモモ肉を原料に使ったPaleta(パレタ)と、後ろ足を使ったJamon(ハモン)、そしてロインを腸詰にして熟成されるLomo(ロモ)に大きく分類されます。更に、イベリコ豚と呼ばれる特別な豚から作られるJamone Iberico(ハモンイベリコ)、そしてその他白豚から作られるJamone blanco(ハモン ブランコ)に分けることができます。
    ハモンの商品名にIberico(イベリコ)と付与するには、その原料が最低でも50%以上の血統を有する必要があります。仮に75%のイベリコ豚は、血統100%の母親と、イベリコ豚とデュロック種の掛け合わせから生まれた父親の子供ということになります。そして、イベリコ豚から作られる生ハムは、その血統の純度と育成プロセスにより以下のように4種類に区分され、加工前の原料肉に付けられるNegro(黒)・Rojo(赤)・Verde(緑)・Blanco(白)のetiqueta(タグ)により判断することが可能です。
    ※イベリコ豚製品の品質に関する規定は2014年1月12日に発行されているため、熟成期間が長い生ハムには未だタグが付けられていない物もあります。また、これらの規定はスペインの国内法です。

    Jamon iBERICO DE BELLOTA 100% Raza pura(黒タグ:ハモンイベリコ ベジョータ 100%)

    ・血統書に登録され証明される血統100%のイベリコ豚であり、10月1日から12月15日までの間で最低でも60日間はdehesa(デエサ)で放牧され、天然の牧草とドングリを食べることにより最低でも46kg以上肥った豚で、14か月以上の月齢体重が108kg以上のものが選別されて原料とされます。

    Jamon iBERICO DE BELLOTA(赤タグ:ハモンイベリコ ベジョータ)

    ・血統が50%以上のイベリコ豚であり、10月1日から12月15日までの間で最低でも60日間はdehesa(デエサ)で放牧され、天然の牧草とドングリを食べることにより最低でも46kg以上肥った豚で、14か月以上の月齢体重が115kg以上(デュロックとの掛合わせにより体躯が大きい為、100%ベジョータよりも大き目の基準)のものが選別されて原料とされます。

    Jamon iBERICO DE CEBO DE CAMPO(緑タグ:ハモンイベリコ セボ デ カンポ)

    ・血統が50%以上のイベリコ豚であり、最低でも60日間はdehesa(デエサ)で放牧され、天然の牧草とバランスよく配合されたエサを食べることにより十分に肥った豚、12か月以上の月齢体重が110kg以上のものが選別されて原料とされます。

    Jamon iBERICO DE CEBO(白タグ:ハモンイベリコ セボ)

    ・血統が50%以上のイベリコ豚であり、豚舎で育ち、穀物と豆類を中心とした専用のエサを食べることにより育てられた豚、10か月以上の月齢体重が110kg以上のものが選別されて原料とされます。


    スペインのエンブティードス

    【イタリアのエンブティードス】
    ・スペイン料理で利用されるエンブティードス(embutidos)とは、詰めるを意味するembutirというスペイン語の動詞を語源としており、、豚肉、牛肉、家禽肉、魚なども原料を、豚の腸に詰められて料理される食品の一般的なカテゴリーを指します。これらは、加熱して食べられる生ソーセージやサラミなど、様々な風味、食感、調理方法を持つものが含まれます。一般的なエンブティードスの例には、チョリソ、フエ、サルチチョン、ロンガニサ、モルシージャ、ブティファラなどです。

    Chorizo(チョリソ)
    ・チョリソは豚肉を細かく刻み、パプリカ、にんにく、他のハーブなどのスパイスで味付けされます。肉とスパイスの混合物は天然または合成の腸に詰められ、熟成または燻製され、特徴的な味が出ます。地域ごとにさまざまなバリエーションがあり、それぞれ独自の特徴と風味があります。チョリソは、生ソーセージとしてや、熟成乾燥されたサラミタイプのいずれもあります。これを区別するため、加熱が必要なソーセージタイプにはチョリソ フレスコと表示されることがあります。ロンガニサとは異なり、加熱して食べるタイプのチョリソは、多くの場合で調理時のその形状を崩し、具材の一つとして用いられます。

    Longaniza(ロンガニサ)
    ・ロンガニサもエンブティードスの一種で、異なる国で見られ、地域ごとにバリエーションがあります。ロンガニサの語源は「Longo」という形容詞ということで、チョリソに比較すると細長い形状であることが特徴です。また、チョリソとは異なり、熟成乾燥させたサラミタイプとしてはほとんど製造されていません。日本人が想像するソーセージにあたるのがロンガニサです。


    ケーシング

    ■ケーシングとは
    ・ケーシングとは、調味したひき肉などを入れてソーセージやサラミを作る際の皮として機能するものです。 主に牛や豚、及び羊など動物の小腸を用途別に用います。一般的には、太さが36mm以上になる牛のケーシングではボローニャソーセージ、太さが20mmから36mmまでで豚の腸を使用するとフランクフルトソーセージ、20mmで羊の腸ではウインナーソーセージが作られます。
    イタリアやスペインなどの伝統的な手法では、豚の腸を使用してサラミを作ります。径の小さなサラミには小腸、径の太いサラミには大腸を使用されます。どちらも人体に無害ですが、口の残ることが気になる場合は取り除いて食べます。特に大腸は小腸に比べ厚いため、基本的には取り除きます。
    古くからの製法を守った伝統的なサラミは、熟成段階でこのケーシングがカビで覆われます。そのカビは熟成庫に生息するもので、基本的には人体に無害なだけでなく、有害なカビの侵入を防ぎ原料の腐敗を防ぐ役割を果たします。ただ、召し上がる方の体調によっては健康に影響が出る可能性もありますので、サラミの表面にカビが見受けられる場合には、アルコールなどを染みこませた不織布などでふき取ってからご利用ください。
    動物の腸を使用した場合、個体ごとに腸の径にバラつきがあることと、衛生面での懸念から、人工のケーシングが使用されることがあります。
    モルタデッラなど加熱して製造され、皮まで食べることを想定していないソーセージにはプラスチックのケーシングが使用されます。一方、パリッとした皮の食感を楽しむソーセージ、またスモークなどにより処理されるソーセージには天然由来の素材であるコラーゲンを使用したケーシングが用いられます。
    非加熱食肉製品と呼ばれ、基本的には加熱せずに熟成や水分が抜けることによって製品となるサラミなどには、紙のような性質をもった植物繊維のセルロースを原料としたケーシングが使用されます。
    コラーゲンを原料とするケーシングはそのまま食べることを想定しているのに対し、セルロースを原料としたケーシングは食べても安全ですが不可食性になります。
    サラミの形状がまっすぐで太さにムラのない製品は人工ケーシングで作られ、太さにバラつきのある一見して不恰好なサラミには動物のケーシングが使われていると言えます。


      生ハムのカービング

      カービング方法~ハモン編~

      ・生ハムを最もおいしく召し上がれる室温は約21℃位。この温度が一番自然に脂部分が輝きます。あまり冷やし過ぎてしまうと不透明なくすんだ脂になってしまいます。
      デリカテッセンなどでは、ボンレスタイプの生ハムをスライサーでスライスして販売していますが、ナイフでカットする方法が最も生ハムを美味しく召し上がるのに適しているされています。手作業での伝統的なカッティングのプレゼンテーションとは違い、スライサーでは生ハムの表面とスライサーの摩擦によって熱が生じ、脂の旨みや特性、香りを損ってしまう可能性があるからです。
      正しい知識さえあれば、カッティングはとても簡単な作業です。以下の注意点に沿って安全に行ってください。

      ■特に重要な4つのポイント
      1.適切なハモンホルダー(Jamonero)を使い、生ハムを固定する。
      2.カッティング中はナイフを持っていない手を必ずナイフを持っている手より上の位置におく。
      3.身体をカッティング部分から安全な距離に保つ。
      4.力を入れすぎず、ゆっくりカットする。


      生ハムのカービングに必要な道具 ■道具
      生ハムを適切にカットする為には以下の道具が必要です。
      A.シャープナー(Chaira):ナイフを手早く・簡単に・安全に砥ぐことが出来ます。
      B.ナイフ(Cuchillo jamonero):ハムカッティング用特別ナイフ。鋭く、刃身が長く、細身でしなやかなので、カットする部分の形に沿って薄く正確にスライスできます。
      C.ハモンホルダー(Jamonero):足や肩部分の肉を、カットに適切な位置にしっかりと支えるホルダーです。
      a.布巾:切り終わった後にハムを覆います。
      b.小さいナイフ類:小さく鋭い刃は、角度のある部分でも正確にカットすることが出来ます。


      生ハム各部位の名前とセッティング ■生ハム各部位の名前とセッティング
      a.Maza
      b.Contramaza
      c.Punta
      d.Codillo
      ホルダーは負担のない楽な姿勢で切れる位置に置きます。
      1~2日の短期間で生ハムを使い切る場合は、「maza」と呼ばれる部分からカットすることをお薦めします。写真のように、蹄部分を上に向けてセットします。
      2日以上かけて使い切る場合は、「contramaza」の部分からカットした方がいいでしょう。この場合、蹄部分が下になるようにハムをセットします。


      生ハムの剥き方 ■生ハムの剥き方
      生ハムをカットするには、切る部分に被っている皮を剥き、肉の部分が見えるまで余分な脂肪部分と共に取り除くことが必要です。
      生ハムの外側には、乾燥・熟成期間に自然発生した滲出液とカビを多く含んでいます。カットする部分からそれらを取り除くことで、嫌な匂いを防ぐ事が出来ます。
      1日で使い切る場合は皮を全て剥いてしまって構いません。そうでない場合は、使用する部分のみ剥いて下さい。


      生ハムのスライス方法 ■スライス方法
      生ハムはほとんど透ける位に薄くスライスします。 長さは6~7cm位までがいいでしょう。
      皮と外側の脂部分を取り除きながら、切り進んで下さい。
      カットは常に蹄とは逆方向に水平にし、でこぼこのない平らな表面にしておきます。
      ジューシーな「maza」部分をカットする際は、「punta」部分と、「codillo」部分のスライスを混ぜてご提供することをお薦めします。
      骨、または 「punta」部分に達した時には、後でカットしやすいように、先に骨の周りをカットしておきます。

      Punta部分のスライスcodillo部分の切り方

      主要部分に肉がなくなったら、蹄部分が下を向くように生ハムをひっくり返します。
      横を削ぐ場合は、小さなナイフをうまく使ってカットして下さい。小片にカットし
      、スープやシチューの具材としてご使用下さい。

      Punta部分のスライスcodillo部分の切り方

      ■生ハムの保存方法
      ハモンやパレタは特別な保存条件はありませんが、涼しく乾燥した場所(10~15℃程度)に置く必要があります。吊り下げておくか、ホルダーに乗せておくと良いでしょう。
      一度カットしたらすぐに消費するか、油紙かラップで巻いて空気との接触を防ぐ必要があります。
      カッティングを終えた時は、取り除いた脂や皮の大きい部分で断面を保護しましょう。そうする事で、断面を新鮮に保つことができます。
      その上に清潔な布巾を被せておく事をお勧めします。より良い状態で保存出来ます。


      ■追記事項
      生ハムの骨は味わい深いシチューやスープの最高の具材としてお使い下さい。この場合、骨を握りこぶし程度の適度なサイズに(のこぎり等で)カットしておきます。後で使用する為に冷凍しても良いでしょう。
      また、生ハムのナイフに最もよく使用されるのはステンレスです。柔軟性があり、耐久性が良いからです。 しかし、すぐに切れ味が鈍ってしまいます。毎回ハムを切る前にはナイフを研ぐことをお勧めします。 ナイフを研ぐ事で、怪我も未然に防げます。


      資料提供:アサヒグラント株式会社 様