【各国別ビーフの分割と部位名】
・国産と輸入品としてアメリカ、オセアニア(オーストラリア・ニュージーランド)産のビーフに関し、それぞれの分割と部位名を比較表としてまとめております。
(各国ともそれぞれ独自の規格であるだけでなく、パッカーにより名称が異なることもありますので、完全に一致するわけではありません。)
1.Chuck Roll
・チャックロールは、チャックアイログ(肩ロース芯)、チャックフラップ(ざぶとん)、チャックテールフラップなどに分割することができます。肩ロース芯は、リブロースに接する部位で
、柔らかい赤身肉ですが程よくサシも入ります。表面脂肪は少なく、繊維も同一方向に向いているため、リブロース側は厚切りしても柔らかく利用できます。ネック側は固くなります。
2.Chuck Flap
・肩ロースから分割されるチャックフラップは、全体的に均一にサシが入り、赤みが多い柔らかい肉質で、肉の味は比較的さっぱりしています。繊維の方向が横から縦に変化しますのでサク取りに注意してください。
3.Point End Brisket
・肩バラ肉は、ともばらに比べ赤身率が高く、肉の繊維は若干粗いながら旨みがある部位です。
4.Chuck Rib
・チャックリブは、適度な霜降りで柔らかくジューシーな赤身肉で、焼肉ではカルビ・上カルビとして商品化されます。表面に変色を防ぐために残されたシルバースキンを除去するだけでサク取りができ、歩留まりと作業効率が高い部位。三角形の先端部分を頂点に水平にサク取りし分割します。繊維に直角にするため、包丁を斜め45度に傾けてカットしてください。
5.Clod(Blade)
・赤身が多く、モモ部位に比べてサシが入りやすく、味もよく風味がある。また、エキス分やゼラチン質が豊富なので煮込み料理やスープの材料としても適します。ミスジ、カタサンカク、クリなどに分割することもできますが、入り組んでい部分の筋引きをすれば、丸ごと塊として使用できます。トップブレードやオイスターブレードとも呼ばれるミズジは特にサシの入りやすい部位で、中央部にある太いスジを除去すれば、厚切りでも柔らかくジューシーにお召し上がりいただけます。
6.Top Blade Muscle
・うでからミスジの部分だけを取り出して成形したもの。サシが入りやすく、とくに先端部分は霜降り状態になりやすい。肉色は淡く、肉はやわらかく、味、風味が良い部位です。やわらかいので厚切りにしてもジューシーな焼肉にできます。中央部分にあるスジは、太い方から10cmは完全に除去して使用します。(それ以外はスジは比較的やわらかい。)
7.Chuck Tender
・中央部分に太いスジがあるので、そこで赤身が2分割できます。肉質が少し固いので、焼き材として使用する場合にはテンダーライザーにかけます。比較的安価な部位のため、煮込み料理には適しています。
・国産牛ではともばらを更に上部を「中バラ」として分割する場合があります、アメリカおよびオセアニアでは、中バラに当たるのがショートリブで、さらにフラップミートもここに含みます。
8.Short Rib
・ショートリブは、バラ肉でもリブアイロールにつながる部分で、明るい赤色をした赤身肉で、サシが最もよく入る部位の一つです。変色を防ぐために残されたシルバースキンを除去して分割するだけで焼肉短冊が作れるため、歩留まりが良く作業効率に優れます。繊維に直角にするため、包丁を斜め45度に傾けてカッティングします。
焼肉では「上カルビ」「霜降りカルビ」など高級なメニューとして人気が高く、焼肉のシーズンとなる夏にかけて値段が上昇するので注意が必要です。
9.Navel End Brisket
・アメリカの規格ではショートプレートと呼ばれるこのバラ肉は、牛丼用に利用される部位として有名。筋肉間の脂肪や表面脂肪が多いですが、肉に甘味と旨味が多く、やわらかくておいしいことが人気の理由です。赤身の部分についている「うす皮」は非常に固いので必ず除去して使用してください。
10.Flank Steak
・フランクステーキは、サシの入りやすい赤身のバラ肉。肉の繊維はやや粗いですが、きわめて柔らかく、触感は歯触りが良いのが特徴です。肉厚が余りないのでサイコロステーキや、ロール状にしてステーキにするなどの使い方もおすすめです。
11.Flap Meat
・カイノミと呼ばれるフラップミートは赤身のバラ肉。肉色はやや濃いですが、肉繊維がきめ細やかで厚めに切ってもやわらかくておいしい部位です。日本のカット規格ではバラ肉の一部に含まれますが、ボトムサーロインバットの内側についているナックル筋という分類もあります。
12.Finger Meat(Intercostals)
・フィンガーミートは、バラ上部のショートリブを取り出した際に、肋骨間に付着している筋肉部分を取り出したヒモ状の部位。骨に近い部分だけに味がよく、やわらかく甘い風味で肉質的には上バラの部分に区分できます。タレがなじみやすい部位で、その希少性を活かしたオリジナルメニューが定番です。
13.Rib Eye Roll(Cube Roll)
・ステーキやローストビーフに調理する場合、風味とやわらかさが醸し出す総合的なおいしさの点では、テンダーロインやストリップロインよりも優れるのがリブロース。やわらかく、明るい肉色でサシも入ります。脂肪の融点が低いため調理温度で溶けやすく、風味が豊かなやわらかい脂身がバランスよく赤身肉とかみ合っています。カットの赤身率を高めるには、リブアイテール(リップ、バラ先の副芯)を取り除きます。リブアイテール自体もロース芯よりやわらかく、旨みは上です。
14.Tenderloin
・肉質がもっとも柔らかい最高級のステーキ肉。一般的には3分割され、その肉質と形状の違いにより、頭の部分から「トルネード・シャトーブリアン・フィレミニョン」と呼ばれます。
15.Striploin
・一般的にはサーロインと呼ばれるのがストリップロイン。穀物肥育牛の場合には、肥育期間に蓄えられた背脂肪をバックストラップス(オニスジ)の上部まで除去しステーキに適した断面に仕上げるためステーキレディーという規格になります。
・国産牛ではモモ肉に分類される「らんいち」は、アメリカおよびオセアニアともにロイン系の一部とされ、サーロインバットと呼ばれます。上部は、トップサーロインバットと呼ばれ国産牛のランプとイチボ、下部はボトムサーロインバットと呼ばれ、国産牛では「しんたま」の一部であるトライチップが含まれます。
16.D-Rump
・D-Rumpは、ランプからトライチップを取り除いて得られる部位で、国産牛では「らむ・らんいち」と呼ばれます。D-Rumpは、一般的にランプといちぼに分割します。ランプはテンダーロインに次いで柔らかい赤身の部位です。タレやスパイスがなじみやすいですが変色が早いので注意が必要です。ランプキャップとも呼ばれるいちぼは、赤身肉に少しサシが入り、やわらかく、肉に風味があるので人気の部位です。
17.Topside(Inside)
・うちももは、赤身のやわらかい大きな部分肉ですので、大判の薄切りにしてしゃぶしゃぶ用などには特に人気の部位。焼材として使用する場合には、ケンサキ(オオモモ)とウチモモ(コモモ)に分割するのが一般的ですが、それぞれ肉質・色合い・水分含有量がことなりますので注意が必要です。コモモはやわらかいので、そのままステーキ用にカットできます。ケンサキはやや固めの部分もあるため、テンダーライザーを使用するとよいです。
18.Knuckle
・しんたまは、うちももよりやわらかい赤身肉です、適度にサシも入るためパサつきにくい使いやすい部位です。モモステーキやローストビーフ、スライスしてしゃぶしゃぶ用など様々な用途で使えます。
19.Bottom Sirloin Triangle(Tri-Tip)
・ともさんかくは、日本の規格でしんたまの一部に分割されますが、アメリカおよびオセアニアではボトムサーロインバットから分割される3つのブロックの一部です。あわい鮮やかな紅色で、肉の繊維はやや粗いものの味があり、モモの中ではサシが入りやすい部位。繊維が均一ではないため小割とカッティングの際には注意が必要です。
20.Outside Skirt、Thin Skirt
・ハラミは、胸部肋骨に付着している横隔膜筋で幅10cmほどの平べったい長方形状、臓器を動かすための内臓肉です。繊維は粗いものの、独特の甘い風味を持ち、サシは入りやすく非常に柔らかい部位です。裏面サイドをスジ引きし、繊維に直角になるように包丁をねかせてカッティングします。
21.Hanging Tender
・サガリは、背骨の裏側に位置する横隔膜筋で棒状の太い筋肉で、臓器を動かすための内臓肉です。甘味や霜降り度は同じ内臓肉であるサガリに劣りますが、やわらかい赤身肉でリーズナブル、皮むきやトリミングに手間がかからないため作業性の良い部位です。肉中にあるスジはゼラチン質などで、焼肉用の暑さのスライスであれば焼くとやわらかくなり、付着していても問題はありません。
USビーフの格付けに関して